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イベントレポート:Fukuoka BioReactor Live – Innovation to Implementation

ライフサイエンスの社会実装を見据え、対話と実践が交差する場を福岡で開催

2026年5月15日に開催された本イベントは、福岡地所、DIA (Drug Information Association)、M&J COMPANY の共催により実施され、アカデミア、製薬企業、スタートアップ、投資家、支援機関など、ライフサイエンス領域に関わる多様なプレイヤーが一堂に会しました。

創薬・ヘルスケア領域において、優れた研究成果や技術シーズをいかに社会実装へとつなげるか。そのためには、科学的・技術的な専門性だけでなく、「誰の課題を解決し、どのような価値を届けるのか」という視点や、それを異なる立場の相手に伝えるコミュニケーションが欠かせません。

今回のイベントでは、そうした課題意識のもと、知見を共有するだけでなく、立場を超えて対話し、実践的に学ぶ場としてプログラムを設計いたしました。

第一線のプロフェッショナルとともに考える、ライフサイエンスの現在地と未来

前半セッションでは、DIA(Drug Information Association)より、日本のライフサイエンス領域を牽引するプロフェッショナルが福岡に集い、日本のライフサイエンス産業の現在地と今後の可能性について、多角的な議論が展開されました。

当日は、DIA Japan代表理事・新美満洋氏をはじめ、製薬業界やイノベーション推進の実務に深く関わる専門家が参加。さらに、国立成育医療研究センター 臨床研究センター長・松山琴音先生にもご登壇いただき、アカデミア、産業界、支援機関それぞれの視点が交差する場となりました。

印象的だったのは、登壇者と参加者の境界が自然と溶けていったことです。

松山先生をはじめ、登壇後も会場全体の議論に積極的に加わり、それぞれの立場や経験から率直な意見が次々と交わされました。予定されたプログラムの枠を超え、参加者同士が問いを投げかけ、議論を深めていく様子は、このイベントならではの光景でした。

議論では、研究成果をいかに社会実装へつなげるか、オープンイノベーションを実装するうえでの現実的な課題、技術だけでなく“価値”をどう設計し伝えるか、次世代人材をどう育てるか、そして地域から新たなエコシステムをどう育てるかといった、多岐にわたるテーマが取り上げられました。

肩書きや所属を超えて、本音で議論し、それぞれの経験や想いをぶつけ合う空気感は、一般的なカンファレンスではなかなか見られないものです。

こうした第一線の実務家・専門家と、地域の研究者や企業関係者が同じ目線で対話できる場が福岡で実現したこと自体、大きな意義を感じる機会となりました。

“楽しく学ぶ”からこそ、本質が見える

ワインテイスティングを通じて体感するTPPの考え方

後半では、Newsight Tech Angels 瀬尾亨氏による体験型ワークショップ「ワインテイスティングとTPPを考える」を実施いたしました。

TPP(Target Product Profile)は、創薬やヘルスケア開発において、「誰に、どのような価値を提供するのか」を明確にし、開発や事業戦略の方向性を整理する重要なフレームワークです。

一方で、その概念を理解することと、実際の事業や研究の中で活用できることの間には、大きな隔たりがあります。

今回のワークショップでは、その本質を実践的に体感するため、あえてワインという身近な題材を用いました。

参加者はテイスティングを通じて、ワインの特徴を単なる感覚として語るのではなく、

  • どのような価値として整理できるか
  • 誰にとって魅力となるのか
  • どのような場面で選ばれるのか
  • 何が差別化要因となるのか

といった視点から議論を重ね、チームごとに発表を行いました。

各チームの発表は実に個性的で、ユーモアやストーリー性に富みながらも、本質を突く内容ばかりでした。

あるチームは製品の価値を情景として描き、またあるチームは文化的な視点を交えながら、その魅力を言語化しました。会場には笑いや共感が生まれつつも、議論の中身は非常に深く、参加者それぞれの専門性や視点が自然と交差していきました。

創薬やイノベーションにおいても、優れた技術そのものだけでは価値は伝わりません。

その価値を相手の視点で整理し、未来のイメージとして伝えられて初めて、共感や投資、連携へとつながっていきます。

“楽しく学ぶ”という設計の中にこそ、実践的な学びがありました。

福岡から広がる、新たなライフサイエンスエコシステムの可能性

今回のイベントを通じて改めて感じられたのは、福岡という地域が持つポテンシャルです。

研究者、企業、投資家、支援機関が比較的近い距離に存在し、偶発的な出会いから具体的な議論や連携へとつながりやすい環境は、福岡ならではの強みといえます。

実際、イベント終了後も会場のあちこちで議論が続き、新たな接点や協業の可能性について話し込む姿が見られました。

地域にエコシステムを育てる上で重要なのは、単にイベントを開催することではありません。

どのようなプレイヤーが集い、どのような対話が生まれるのか。

異なる立場の人々が、それぞれの専門性や課題意識を持ち寄りながら、“社会実装”という共通テーマで本音の議論を交わせること。

そうした場の積み重ねが、新たな価値創出や地域発イノベーションの土壌を育てていくのだと感じさせる機会となりました。

おわりに

Fukuoka BioReactor Liveは、ライフサイエンス領域における知見共有にとどまらず、研究成果を社会へ届けるための「価値設計」と「対話」を実践的に考える場となりました。

専門性の高い領域だからこそ、閉じた議論ではなく、多様な視点が交差し、新たな接点が生まれる場が求められています。

今後も福岡・九州から、ライフサイエンス分野における新たな挑戦とつながりを生み出す取り組みを継続してまいります。

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